2019/04/03
「わが社らしさ」を求職者に届けて採用広報に成功する方法
株式会社PR Table 代表取締役 大堀 海

「よい人材がとれない」。いま、多くの経営者・人事担当者が採用難に頭を悩ませている。そんななか、自社オリジナルのコンテンツをつくってWeb上にアップ。求職者向けに情報発信して、人材獲得競争で優位に立つ手法が注目されている。しかし、「ウチには求職者にアピールできるネタがないから…」とあきらめている企業も。これに対し、PR Table代表の大堀氏は「どんな企業のどんな活動でも、ストーリー化することで、魅力的なコンテンツはつくれる」と説く。同社はNTTデータ、オプト、リクルート、エイベックス、ミラティブといった、錚々たる企業のコンテンツ制作・発信を支援しているエキスパート集団だ。採用広報を成功させ、人材獲得競争に勝ち残る方法を同氏に聞いた。
「採用HPオープン」で終わってはいけない
── 労働市場の超売り手市場化が進むなか、各社とも採用競争にしのぎを削っています。採用ホームページをつくるなど、情報発信に工夫を凝らしていますが、効果が出ている企業と出ていない企業に分かれるのは、なにが原因なのでしょう。
「発信の継続性」があるかないか、そこが成功への分かれ道になっています。確かに、多くの企業が採用のために、自社の魅力を表現するコンテンツを発信しています。しかし、「採用ホームページをつくった」はいいが、その後、なにもしていないところもあります。オープン時にアップしたコンテンツがずっと更新されないまま掲載され続けている。これに対して、採用に成功している企業は新しいコンテンツをどんどんアップして、更新し続けています。必然的に、掲載されているコンテンツの量は増える。
企業の魅力は多面的なものです。発信量が少なく、一面的な魅力しかアピールしていない企業と、発信量を増やして、さまざまな角度から魅力をアピールしている企業。勝敗は明らかです。
企業の魅力は多面的なものです。発信量が少なく、一面的な魅力しかアピールしていない企業と、発信量を増やして、さまざまな角度から魅力をアピールしている企業。勝敗は明らかです。
── 確かに、そうですね。しかし、「ウチには、たくさんのコンテンツをつくれるほどのアピールポイントはない」という経営者もいそうです。
どんな企業であっても、求職者へ訴求するコンテンツをたくさん制作できます。「ウチには…」というのは、「たくさんの求職者の目を引くような特別なネタはない」ということでしょう。確かに、求人にたくさん応募してもらう、つまりマーケティングの世界でいう「多くのリードを確保する」ためには、求職者にとって役に立つ情報や、感動したりびっくりしたりさせられる情報があると有利です。そして、そうした情報をもっている企業は限られています。
しかし、企業が応募してほしいのは、自社が求めている人材像にマッチする求職者です。そうした求職者に「この会社は自分に合いそうだ」「この会社なら活躍できそうだ」と思ってもらえる情報を発信することが肝心。「発信の継続性がある企業が成功する」というのも、「多くの人の目にとまる」からではなく、「自社の魅力を多面的に発信して、求める人材に自社のことを深く理解してもらっている」からこそ、です。
たとえばメルカリさんの場合、自社の「はたらく」を伝えるメディアを運営。部署や職種ごとに、社内で起きたことなどの情報を、数多く発信しています。“いまをときめく”メルカリさんであれば、知名度によって応募者の数は確保できるはず。しかし、発信を継続し、コンテンツの量を増やし続けているのは、メルカリさんのバリューを伝え、自社にマッチする人材を確保するためでしょう。
少人数のベンチャー企業であっても、たとえば10名のメンバーがそれぞれ「入社した経緯」「壁にぶつかったときの乗り越え方」「公私のバランスのとり方」といった10個のテーマでそれぞれコンテンツをつくれば、すぐに100個のコンテンツがつくれます。そうすることで「この会社って、こういう雰囲気なんだな」と伝えることができます。
しかし、企業が応募してほしいのは、自社が求めている人材像にマッチする求職者です。そうした求職者に「この会社は自分に合いそうだ」「この会社なら活躍できそうだ」と思ってもらえる情報を発信することが肝心。「発信の継続性がある企業が成功する」というのも、「多くの人の目にとまる」からではなく、「自社の魅力を多面的に発信して、求める人材に自社のことを深く理解してもらっている」からこそ、です。
たとえばメルカリさんの場合、自社の「はたらく」を伝えるメディアを運営。部署や職種ごとに、社内で起きたことなどの情報を、数多く発信しています。“いまをときめく”メルカリさんであれば、知名度によって応募者の数は確保できるはず。しかし、発信を継続し、コンテンツの量を増やし続けているのは、メルカリさんのバリューを伝え、自社にマッチする人材を確保するためでしょう。
少人数のベンチャー企業であっても、たとえば10名のメンバーがそれぞれ「入社した経緯」「壁にぶつかったときの乗り越え方」「公私のバランスのとり方」といった10個のテーマでそれぞれコンテンツをつくれば、すぐに100個のコンテンツがつくれます。そうすることで「この会社って、こういう雰囲気なんだな」と伝えることができます。

コンテンツで入社意思を高めていく
── なるほど。ただ、コンテンツの制作には手間がかかるのが心配です。
専門家の知恵とITを活用すればいいのです。たとえば当社が提供する『PR Table』は、私たちPRの専門家が「求める人材を採用するには、どんなブランディングイメージを打ち出すべきか、そのためにはどんなコンテンツをつくるべきか」についてコンサルティング。それをもとに、当社が提供するコンテンツ管理システム(以下、CMS)で、お客さまのメンバーがコンテンツを制作する仕組みです。
CMSには、私たちが独自に開発した、PR効果の高いコンテンツを制作するためのフレームワークが設定されています。たとえば「創業ストーリーを起承転結の4章で制作する場合、“起”の章には○○の内容を入れる」という具合。これに沿っていけば、コンテンツ制作に不慣れなメンバーでも質の高いコンテンツを制作できます。
そして、完成したコンテンツを、当社運営プラットフォームである『PR Table』で公開 するだけでなく、自社の採用メディアに掲載。さらに、当社が提携している『NewsPicks』をはじめとする他社メディアにも掲載されるようにできるので、より効果的にリーチすることができます。
CMSには、私たちが独自に開発した、PR効果の高いコンテンツを制作するためのフレームワークが設定されています。たとえば「創業ストーリーを起承転結の4章で制作する場合、“起”の章には○○の内容を入れる」という具合。これに沿っていけば、コンテンツ制作に不慣れなメンバーでも質の高いコンテンツを制作できます。
そして、完成したコンテンツを、当社運営プラットフォームである『PR Table』で公開 するだけでなく、自社の採用メディアに掲載。さらに、当社が提携している『NewsPicks』をはじめとする他社メディアにも掲載されるようにできるので、より効果的にリーチすることができます。
── 『PR Table』のソリューションを導入して、採用面で効果があった成功事例を教えてください。
マーケティングオートメーション事業を展開するマルケトさんの例があります。『PR Table』で応募者を獲得するだけでなく、応募者との接点を増やし、入社への意思を固めてもらうことにも、『PR Table』のコンテンツを活用しています。マーケティングの世界でいう“ナーチャリング”の部分ですね。
応募者の属性や、『PR Table』上のどのコンテンツを閲覧し、どんなアクションを起こしたのか、といった違いによって、さまざまなアプローチをしています。たとえば「MA業界についてのイメージを語り合う座談会をオウンドメディアに載せるので、登場者になりませんか?」と声をかけたり、社長インタビューを『ぜひ見てください』と案内するメルマガを送ったり、オウンドメディアの記事のなかのどれがいちばん興味深かったかアンケート調査に協力してもらう、など。これによって応募者のマルケトさんへの理解とロイヤリティが高まり、より求める人材にマッチした人材の入社率を高めることができています。
また、『PR Table』のコンテンツを社内報のように活用しているケースもあります。NTTデータさんでは、各部署の魅力を、採用オウンドメディアを通して発信しています。その登場部署を選ぶ際、経営陣からみて、「最近、ちょっとモチベーションが落ちているな」と感じられる部署を優先しています。その部署の取材記事をアップすると同時に、『NewsPicks』などに展開。スポットライトを当てるのです。
単に「応募者を獲得する」というニーズにこたえるだけでなく、「求める人材像にマッチした応募者を獲得する」「応募者の入社率を高める」「入社後に活躍してもらう」というニーズにも、『PR Table』はこたえられます。
応募者の属性や、『PR Table』上のどのコンテンツを閲覧し、どんなアクションを起こしたのか、といった違いによって、さまざまなアプローチをしています。たとえば「MA業界についてのイメージを語り合う座談会をオウンドメディアに載せるので、登場者になりませんか?」と声をかけたり、社長インタビューを『ぜひ見てください』と案内するメルマガを送ったり、オウンドメディアの記事のなかのどれがいちばん興味深かったかアンケート調査に協力してもらう、など。これによって応募者のマルケトさんへの理解とロイヤリティが高まり、より求める人材にマッチした人材の入社率を高めることができています。
また、『PR Table』のコンテンツを社内報のように活用しているケースもあります。NTTデータさんでは、各部署の魅力を、採用オウンドメディアを通して発信しています。その登場部署を選ぶ際、経営陣からみて、「最近、ちょっとモチベーションが落ちているな」と感じられる部署を優先しています。その部署の取材記事をアップすると同時に、『NewsPicks』などに展開。スポットライトを当てるのです。
単に「応募者を獲得する」というニーズにこたえるだけでなく、「求める人材像にマッチした応募者を獲得する」「応募者の入社率を高める」「入社後に活躍してもらう」というニーズにも、『PR Table』はこたえられます。

スタートアップの成長に有効な『SALES BASE』
── 『PR Table』の販促について聞かせてください。広く普及させていくうえで、どんな課題がありましたか。
前例のないサービスを立ち上げたスタートアップなので、「どんな属性のお客さまにヒットするのか」「そのお客さまにはどうアプローチするがよいのか」がわからず、すべてが手探りだったことです。そこで、「とにかく多くのリードを獲得して、さまざまなアプローチ方法を試みよう」という意思決定をしました。PDCAを回して、最適化していくわけです。
自社でメディアを運営しているので、そこへお問い合わせいただくインバウンド型の集客は一定量あります。しかし、PDCAを回し、仮説を検証していくには、それだけでは不足しています。そこで、アウトバウンドのリード獲得手法として『SALES BASE』を活用することにしたのです。
自社でメディアを運営しているので、そこへお問い合わせいただくインバウンド型の集客は一定量あります。しかし、PDCAを回し、仮説を検証していくには、それだけでは不足しています。そこで、アウトバウンドのリード獲得手法として『SALES BASE』を活用することにしたのです。
── 『SALES BASE』を導入したことで、販促においてどんな成果があったか、シェアしてください。
いちばん大きいのは、当社側の工数をかけずに大量のリードを獲得できるようになった点ですね。『SALES BASE』は400万社という膨大なデータベースから、『PR Table』に興味があるであろう企業をリストアップして、当社に代わってアプローチしてくれます。リソースが不足しがちなスタートアップにとって、これは非常に心強い。
リードの質についても満足しています。当社側と頻繁にコミュニケーションをとってくれて、「どんなリードがほしいか」を十分に把握したうえでアプローチしてくれるので、大きなミスマッチはありません。『SALES BASE』で獲得したリードへ当社のスタッフが訪問し、すぐに成約にいたった実績もすでに出ています。
ただ、『PR Table』はリードタイムが1年以上あるケースが大半。その間、『SALES BASE』で獲得したリードを長期的なスパンで、どのようにナーチャリングしていくのか、勘どころをつかめたことが非常に大きな成果ですね。『SALES BASE』では、獲得したリードの属性や、『PR Table』の導入への温度感といった情報も提供してもらえます。それぞれについて、どういったアクションを起こせば効果的なのか、さらに検証を進めて、最適化していきます。
最適化されたときには、いまとはまったく違う顧客層にアプローチしている可能性もあります。当社に限らず、スタートアップ企業は「自社のターゲットってどこにあるんだろう?」というところから、検証しなくてはいけないケースが多いと思います。そのとき、『SALES BASE』は強力なツールとして活用できる。「あれ? いま、こっちの業界を攻めているけど、ほんとはそっちじゃないか?」。そんな気付きを得られるかもしれません。
当社としてアウトバウンド施策に本格的に取り組んだのは初めてですが、結果として、非常に高い成果を得られたと実感しています。
リードの質についても満足しています。当社側と頻繁にコミュニケーションをとってくれて、「どんなリードがほしいか」を十分に把握したうえでアプローチしてくれるので、大きなミスマッチはありません。『SALES BASE』で獲得したリードへ当社のスタッフが訪問し、すぐに成約にいたった実績もすでに出ています。
ただ、『PR Table』はリードタイムが1年以上あるケースが大半。その間、『SALES BASE』で獲得したリードを長期的なスパンで、どのようにナーチャリングしていくのか、勘どころをつかめたことが非常に大きな成果ですね。『SALES BASE』では、獲得したリードの属性や、『PR Table』の導入への温度感といった情報も提供してもらえます。それぞれについて、どういったアクションを起こせば効果的なのか、さらに検証を進めて、最適化していきます。
最適化されたときには、いまとはまったく違う顧客層にアプローチしている可能性もあります。当社に限らず、スタートアップ企業は「自社のターゲットってどこにあるんだろう?」というところから、検証しなくてはいけないケースが多いと思います。そのとき、『SALES BASE』は強力なツールとして活用できる。「あれ? いま、こっちの業界を攻めているけど、ほんとはそっちじゃないか?」。そんな気付きを得られるかもしれません。
当社としてアウトバウンド施策に本格的に取り組んだのは初めてですが、結果として、非常に高い成果を得られたと実感しています。
── 今後、『PR Table』のソリューションをどう広めていくか、ビジョンを聞かせてください。
私たちの専門領域である「PR」は、「パブリックリレーションズ」のことです。本来の意味は、「社会との良好な関係構築」ですね。現在は、世の中の人材採用への大きなニーズを背景に、企業と個の関係構築に最適化したサービスになっています。しかし今後は、対カスタマー、対投資家など、パブリックリレーション全般を支援できるサービスにしていきたい。
より多様な顧客ニーズにこたえていくことになるので、より多様なリード獲得が必要になります。『SALES BASE』には、その面で、さらなる支援を期待しています。
当社が支援することで、企業に社会へと発信する表現力がつく。それによって、世の中に多種多様な情報が発信され、個人はそのなかから就職先・購入先・投資先などを選び、意思決定していくことができるようになる。つまり、『PR Table』個人に選択する力をつけていくプロダクトでもあるわけです。
「あらゆる企業に表現力を。すべての個人に選択力を」。今後もこの『PR Table』のフィロソフィーをさらに深化・発展させられるように、プロダクトを磨いていきたいですね。
より多様な顧客ニーズにこたえていくことになるので、より多様なリード獲得が必要になります。『SALES BASE』には、その面で、さらなる支援を期待しています。
当社が支援することで、企業に社会へと発信する表現力がつく。それによって、世の中に多種多様な情報が発信され、個人はそのなかから就職先・購入先・投資先などを選び、意思決定していくことができるようになる。つまり、『PR Table』個人に選択する力をつけていくプロダクトでもあるわけです。
「あらゆる企業に表現力を。すべての個人に選択力を」。今後もこの『PR Table』のフィロソフィーをさらに深化・発展させられるように、プロダクトを磨いていきたいですね。