2019/01/28
ITで自動車整備会社の先行き不安を解消し成長をもたらす
株式会社ブロードリーフ 営業本部 本部営業グループ 本部営業部 部長 久井 紀彦
株式会社ブロードリーフ サービス推進課 課長 小川 光春
株式会社ブロードリーフ 営業推進課 加川 恭平

自動車の新車販売台数の減少がニュースになるなか、整備や修理などの自動車アフターマーケットは堅調が続く。自動車1台当たりの使用年数が伸びているためだ。では、整備会社の経営は盤石なのか。決してそうではない。EV、自動運転、カーシェアといった革新のうねりが、整備会社の経営に抜本的な変革を迫る。ITサービスをコアに、整備会社の経営変革を支援するブロードリーフの営業を支える久井氏、小川氏、加川氏に、修理・整備工場が時代の荒波を乗り越える方法を聞いた。
危機感がないことが危機的
── 自動車の新車市場がシュリンクするなか、メンテナンスをはじめとするアフターマーケットは堅調に推移しています。整備会社がこのマーケットで勝ち残るために、どんな経営課題がありますか。
久井:「経営変革を推進しなければいけない状況だ」という危機感に乏しいことです。たしかに自動車の耐久性向上などを背景に、アフターマーケット市場は堅調に推移しています。しかし、将来を楽観視するのは危険です。
その理由のひとつは、自動車を保有するユーザーの高年齢化です。少子化の進行に加え、若い世代はカーシェアを志向。自動車オーナーに占める高齢者の割合は上昇の一途です。その中で、高齢ドライバーの運転の危険性が声高に叫ばれ、免許返納率は年々増加しています。
そうした動きが加速し、瞬く間にカーオーナーが減少し、自動車のアフターマーケット市場は急速に縮小することも考えられるのです。
そしてもうひとつの理由として、自動車のEVシフトが挙げられます。従来のガソリンエンジン車とは異なる整備ノウハウが必要になり、EV整備のための設備投資負担も大きいため、地方の小規模な整備工場では対応が難しいのです。
このためEVの整備は、自動車メーカー直営もしくはフランチャイズ型の大型店に流出する傾向にあります。整備会社の最大の経営課題は、こうした中長期的な市場動向を見据え、危機感を持って対応する必要があるということになるでしょう。
その理由のひとつは、自動車を保有するユーザーの高年齢化です。少子化の進行に加え、若い世代はカーシェアを志向。自動車オーナーに占める高齢者の割合は上昇の一途です。その中で、高齢ドライバーの運転の危険性が声高に叫ばれ、免許返納率は年々増加しています。
そうした動きが加速し、瞬く間にカーオーナーが減少し、自動車のアフターマーケット市場は急速に縮小することも考えられるのです。
そしてもうひとつの理由として、自動車のEVシフトが挙げられます。従来のガソリンエンジン車とは異なる整備ノウハウが必要になり、EV整備のための設備投資負担も大きいため、地方の小規模な整備工場では対応が難しいのです。
このためEVの整備は、自動車メーカー直営もしくはフランチャイズ型の大型店に流出する傾向にあります。整備会社の最大の経営課題は、こうした中長期的な市場動向を見据え、危機感を持って対応する必要があるということになるでしょう。
── カーシェアの隆盛やEVシフトは、自動車の専門家である整備会社の経営者は十分に理解していると思います。なぜ、危機感に乏しいのですか。
小川:いわゆる“規制産業”だからです。そもそも自動車整備業は、車検制度という法制度によって守られてきました。特段のプロモーションを展開しなくても、車1台につき2年に1度“仕事”が発生。商圏内で一定の顧客が獲得できました。このため業界全体で経営が硬直化してしまった側面があります。
昔は、整備工場に車を持っていくと、無愛想なおやじさんが出てきて「そこへ置いておけ」ということも(笑)。それでも経営が成り立っていました。でも、今はそんなことをしていたら、例えば、自社の商圏内に大型のフランチャイズ店が進出してきたら、成す術もなく敗退してしまうでしょう。
マーケティング戦略が出来ていないところが多いですし、その戦略を立案する前提となる情報収集をしているところも少ないのが実情です。商圏内の人口に始まり、住民の属性、自動車保有者の割合、自動車アフターマーケットのサービスについてどんな購買行動をとっているのか…など。こうした情報の収集、管理を行っていないことが多いのです。データを基にしたプロモーション施策の実行となると、出来ているところはほとんどありません。
昔は、整備工場に車を持っていくと、無愛想なおやじさんが出てきて「そこへ置いておけ」ということも(笑)。それでも経営が成り立っていました。でも、今はそんなことをしていたら、例えば、自社の商圏内に大型のフランチャイズ店が進出してきたら、成す術もなく敗退してしまうでしょう。
マーケティング戦略が出来ていないところが多いですし、その戦略を立案する前提となる情報収集をしているところも少ないのが実情です。商圏内の人口に始まり、住民の属性、自動車保有者の割合、自動車アフターマーケットのサービスについてどんな購買行動をとっているのか…など。こうした情報の収集、管理を行っていないことが多いのです。データを基にしたプロモーション施策の実行となると、出来ているところはほとんどありません。
加川:マーケティング強化にくわえ、業務効率を上げて生産性を向上させることも重要な経営課題です。マーケティング施策が奏功し、新規顧客の獲得や既存顧客のリピート化に成功したとしても、人が居ないと回りません。しかし、自動車整備業もご多聞に漏れず人手不足が深刻です。人が増やせないのであれば、働き方改革を推進して生産性を向上させるしかないのです。

IT導入を起点とした様々な改革も
── なるほど、抜本的な経営変革が必要なところが多いわけですね。どうしたら実行できますか。
久井:IT導入を起点として、マーケティング施策の確度と業務の効率性の両面を向上させていくことです。例えば当社では、インターネットブラウザ上で顧客・車両管理・伝票発行・申請書類作成ができるクラウド型の自動車整備工場向け業務支援システム『Maintenance.c(メンテナンスドットシー)』を提供。これを基幹システムのように使っていただくことで、バックヤード業務を大幅に軽減できます。
さらに、タブレット端末による接客サービスの導入もできます。これは、整備工場のスタッフが、顧客にタブレット画面を見せながら、整備履歴の参照、最適な車検コースの提案、画像や動画による説明ができるもの。これまでありがちだった不透明な整備費用への顧客の不安感をなくし、整備工場側の業務効率も向上する。
当社では、こうしたタブレット端末による接客の研修サービスも提供します。他にも、店舗内の導線の張り方やプロモーションの方法まで支援。トイレの清潔度のチェックをすることも。ソフトウェアの提供に留まらない、お客さまの事業の成長を支援する総合的なサービスを提供しているのです。
小川:清潔度のチェックまで行っているのは、固定客化の支援に注力しているからです。再来店を促す、様々なサービスメニューがあります。それを活用して再来店してもらったとしても、「不潔だからもう行かない」となったらまずいですよね(笑)。
サービスメニューには、例えば部品交換の通知があります。顧客管理のシステムには、定期的な交換が必要な部品の交換時期を入力しておくことができます。これまでの車の走行距離のデータから、今後の走行距離を予測して交換時期の見通しをつけられる。
開封率の高いショートメッセージで顧客のスマートフォンに通知。来店頻度を向上できるのです。ホームページ上に展開しているキャンペーンやクーポンへ誘導し、来店を促す仕組みを提供することもできます。
加川:業務効率の向上という側面では、車検における検査記録を電子化するサービスがあります。車検では国が定める基準で検査を行い、国が定めるフォーマットで記録表を提出しなければなりません。
これを手入力するのは非常に効率が悪い。この点、当社のソリューションでは、全てシステム上で検査項目を入力できるほか、計算を自動化。国が定めるフォーマットで自動的に印刷出力が可能です。当社の試算では、車検のバックヤード業務の効率が2倍以上になります。
さらに、タブレット端末による接客サービスの導入もできます。これは、整備工場のスタッフが、顧客にタブレット画面を見せながら、整備履歴の参照、最適な車検コースの提案、画像や動画による説明ができるもの。これまでありがちだった不透明な整備費用への顧客の不安感をなくし、整備工場側の業務効率も向上する。
当社では、こうしたタブレット端末による接客の研修サービスも提供します。他にも、店舗内の導線の張り方やプロモーションの方法まで支援。トイレの清潔度のチェックをすることも。ソフトウェアの提供に留まらない、お客さまの事業の成長を支援する総合的なサービスを提供しているのです。
小川:清潔度のチェックまで行っているのは、固定客化の支援に注力しているからです。再来店を促す、様々なサービスメニューがあります。それを活用して再来店してもらったとしても、「不潔だからもう行かない」となったらまずいですよね(笑)。
サービスメニューには、例えば部品交換の通知があります。顧客管理のシステムには、定期的な交換が必要な部品の交換時期を入力しておくことができます。これまでの車の走行距離のデータから、今後の走行距離を予測して交換時期の見通しをつけられる。
開封率の高いショートメッセージで顧客のスマートフォンに通知。来店頻度を向上できるのです。ホームページ上に展開しているキャンペーンやクーポンへ誘導し、来店を促す仕組みを提供することもできます。
加川:業務効率の向上という側面では、車検における検査記録を電子化するサービスがあります。車検では国が定める基準で検査を行い、国が定めるフォーマットで記録表を提出しなければなりません。
これを手入力するのは非常に効率が悪い。この点、当社のソリューションでは、全てシステム上で検査項目を入力できるほか、計算を自動化。国が定めるフォーマットで自動的に印刷出力が可能です。当社の試算では、車検のバックヤード業務の効率が2倍以上になります。
モバイル接客で年間売上1,000万円増
── そうしたソリューションを活用して、経営を大きく改善させた整備会社の事例を教えてください。
小川:タブレットを使って業務効率と販売単価の両方を向上した事例があります。このお客さまでは、車検の点検記録の入力ミスや計算ミスの有無を、蛍光ペンを使ってチェックしていました。しかも営業時間外にですよ。弊社ソリューション導入でこうした作業が無くなったため、残業は大幅に削減できました。
そして、立ち合い車検の場合などに、タブレットを使ってその場で見積もりを行い、顧客に提示し、さらには同時に追加の整備や修理の提案をするようにしました。これにより、車検の単価が1回あたり2,000円アップしたんです。この整備工場では年間5,000台の車検に対応しているため、年間1,000万円の売上アップに貢献していることになります。
久井:地方の整備会社で、当社のプロモーション施策支援のソリューションを活用した事例もあります。ロイヤリティの高いお客さまを当社の顧客管理システムで把握。その全員を“感謝祭”と銘打ったイベントに招待しているのです。ファミリーでの来場を促し、子どもに自動車整備を体験してもらう、といった企画です。
このようなイベントの効果は、優良顧客との関係性強化だけではありません。通りすがりの新規顧客が盛況ぶりに関心を持ち、飛び入りで来場してくれるケースも多いのです。そして、そこでの体験を口コミで広げてくれ、さらなる新規顧客の獲得につなげる──、そういった、良い循環を実現させることも効果として期待できるのです。
そして、立ち合い車検の場合などに、タブレットを使ってその場で見積もりを行い、顧客に提示し、さらには同時に追加の整備や修理の提案をするようにしました。これにより、車検の単価が1回あたり2,000円アップしたんです。この整備工場では年間5,000台の車検に対応しているため、年間1,000万円の売上アップに貢献していることになります。
久井:地方の整備会社で、当社のプロモーション施策支援のソリューションを活用した事例もあります。ロイヤリティの高いお客さまを当社の顧客管理システムで把握。その全員を“感謝祭”と銘打ったイベントに招待しているのです。ファミリーでの来場を促し、子どもに自動車整備を体験してもらう、といった企画です。
このようなイベントの効果は、優良顧客との関係性強化だけではありません。通りすがりの新規顧客が盛況ぶりに関心を持ち、飛び入りで来場してくれるケースも多いのです。そして、そこでの体験を口コミで広げてくれ、さらなる新規顧客の獲得につなげる──、そういった、良い循環を実現させることも効果として期待できるのです。
訪問前に顧客がサービス内容を理解
── 『Maintenance.c』をはじめとするソリューションの販促について聞かせてください。広く普及させていくうえで、どんな課題がありましたか。
久井:「いかに提案営業にまで辿り着くか」ということが最大の課題でした。当社のサービスはソフトウェアの提供に留まりません。スタッフ研修やプロモーション企画の立案、経営コンサルティングといったソフトウェア以外のなサービスも提供しています。このことが当社の競合優位性を築くための最大のポイント。その反面、これをお客さまにPRするのが難しい。「○○機能を搭載した製品です」といった、分かりやすいプロモーションは不可能ですから。
この強みを最大限に発揮するためには、お客様を知り、お客様の外部環境を知る、そして課題を明確化しお客さまと共有する、こういった地道な活動が必要となります。そして、投資対効果を明確にして共感を頂き、実際の投資を決断頂く必要があるのです。このように、単なるソフトウェアの販売ではなく、個々のお客様に応じた提案型営業を提供すること。それが総合的なサービスを提供する当社の最大の課題といえるのです。
小川:提案営業とは、「個々のお客さまの事情を把握し、それぞれのニーズに合った当社ソリューションを提案する」ということです。当社の顧客ターゲットは全国に広がっています。その全てで提案営業を行うのは、当社の人的リソースだけではとても難しい。そこで『SALES BASE』の活用に踏み切ったのです。
この強みを最大限に発揮するためには、お客様を知り、お客様の外部環境を知る、そして課題を明確化しお客さまと共有する、こういった地道な活動が必要となります。そして、投資対効果を明確にして共感を頂き、実際の投資を決断頂く必要があるのです。このように、単なるソフトウェアの販売ではなく、個々のお客様に応じた提案型営業を提供すること。それが総合的なサービスを提供する当社の最大の課題といえるのです。
小川:提案営業とは、「個々のお客さまの事情を把握し、それぞれのニーズに合った当社ソリューションを提案する」ということです。当社の顧客ターゲットは全国に広がっています。その全てで提案営業を行うのは、当社の人的リソースだけではとても難しい。そこで『SALES BASE』の活用に踏み切ったのです。

── 『SALES BASE』を導入したことで、販促においてどんな成果がありましたか。具体的なエピソードを交えてお聞かせいただけますか。
加川:新規顧客の獲得に大きな成果が上がっています。単なるアポ取りではなく、アポ電話のなかで当社のサービスをお客さまに説明し、ある程度の理解を得てくれます。そこから当社スタッフが訪問することになるので、長々と前提の説明をすることなく、直ぐに提案営業を展開できます。
当社では従来の製品売り切り型ではなく、主に小規模企業をターゲットとしたSaaS型のサービスを開始しました。売り切り型はお客さまにとって大きなコストをかける意思決定になるため、成約に時間がかかることも多い。
しかし、SaaS型の場合、「まずはお試しで」というアプローチになります。この点で、『SALES BASE』は電話の時点で競合製品の導入状況や、経営者の方が感じている課題についてもヒアリングしてくれているので、訪問前に提案の仮説も立てやすい。訪問の時点ですでに製品の機能に魅力を感じていただいているケースもあり、直ぐに成約まで至ることもあるんです。
当社では従来の製品売り切り型ではなく、主に小規模企業をターゲットとしたSaaS型のサービスを開始しました。売り切り型はお客さまにとって大きなコストをかける意思決定になるため、成約に時間がかかることも多い。
しかし、SaaS型の場合、「まずはお試しで」というアプローチになります。この点で、『SALES BASE』は電話の時点で競合製品の導入状況や、経営者の方が感じている課題についてもヒアリングしてくれているので、訪問前に提案の仮説も立てやすい。訪問の時点ですでに製品の機能に魅力を感じていただいているケースもあり、直ぐに成約まで至ることもあるんです。
── 『SALES BASE』の活用によって、新サービスの立ち上げが順調にいったわけですね。
加川:ええ。他にも、自動車ディーラー向けサービスの立ち上げに貢献してくれました。ディーラーは新車販売のための付加価値としてメンテナンスサービスも手がけています。「当社サービスを使っていただけるのでは」という仮説のもと、『SALES BASE』を使ってアプローチを試みたところ、予想以上の反響がありました。
小川:アポ獲得率の高さも特筆すべき点ですね。ある施策において当社で準備した顧客リストに対し『SALES BASE』を活用したところ、アポ獲得率は36%を記録しました。なかなか他の企業では出せない数字ではないでしょうか。
小川:アポ獲得率の高さも特筆すべき点ですね。ある施策において当社で準備した顧客リストに対し『SALES BASE』を活用したところ、アポ獲得率は36%を記録しました。なかなか他の企業では出せない数字ではないでしょうか。
営業部門にできた余力で顧客フォローを
── 今後、ブロードリーフのソリューションをどのように広めていきますか。ビジョンを聞かせてください。
久井:『SALES BASE』を使うことで、営業の生産性は劇的に上がりました。極端な言い方をすれば、営業の仕事は「訪問して、提案して、契約する」だけになる。そこでできた余裕を活用して、既存顧客に対するフォローをしていきたい。残念ながら現在では、お客さまが当社のシステムをどのように利用しているのかを細かく把握できていません。営業がお客さまをフォローすることで、こうした情報を収集し、より良い利用方法をご提案。当社のシステムの利用価値を高めていきたいですね。
小川:お客さまとの関係性を強化することで、当社のシステムに入力されている売上情報、従業員情報などがさらに蓄積されます。そのデータをもとに、既に導入いただいている以外のソリューションのアップセルやクロスセルといった提案ができるかもしれない。お客さまの事業の成長を支援する総合的なサービスを提供するために、私たちがやるべきことは、まだまだたくさんあります。
小川:お客さまとの関係性を強化することで、当社のシステムに入力されている売上情報、従業員情報などがさらに蓄積されます。そのデータをもとに、既に導入いただいている以外のソリューションのアップセルやクロスセルといった提案ができるかもしれない。お客さまの事業の成長を支援する総合的なサービスを提供するために、私たちがやるべきことは、まだまだたくさんあります。