2018/12/04
地方工務店の商機獲得をITで支援し自然エネルギー普及を加速させる
国際航業株式会社 デジタルエネルギーチーム チームリーダー 土屋 綺香

航空測量をはじめとする先進技術を用いて、おもに官公庁・自治体向けのビジネスで豊富な実績を誇る国際航業。そんな同社が、これまで電力事業で培った知見をもとに、一般家庭が太陽光発電・蓄電池を導入するとき、どんな製品や電気料金サービスの組み合わせがふさわしいかをシミュレーションできるシステムを開発した。一般家庭向けに太陽光発電・蓄電池導入を提案し、販売しようとする地方の工務店などにとって、強力な武器となる。国際航業デジタルエネルギーチームのチームリーダーである土屋氏に、このシステムによってどんな未来が拓かれるのか、そしてどうやって販促していくのかを聞いた。
電気料金プランも含めた提案が瞬時に
── 2019年以降、太陽光発電の固定買取価格が当初想定を下回り、太陽光発電の導入は「売電目的」から「自家消費目的」へシフトすると見込まれています。地方の工務店をはじめ、太陽光発電・蓄電池の販売に携わる多くの企業にとってチャンスだと思うのですが、動きがにぶいように見えます。なにが問題なのでしょうか。
自家消費目的の場合、その経済効果の算出が売電目的と比べ、著しく難しいことです。売電目的の場合、家庭用の太陽光発電を販売する会社は、「発電量×固定買取価格」のかけ算をするだけで、その経済効果を算出でき、販売先のご家庭に提示することができました。しかし、自家消費目的の場合、計算に必要な要素が圧倒的に多いのです。
たとえば、電気料金プランや蓄電池の容量といった要素があります。自家消費目的が主でも、売電の契約をしているご家庭であれば、「余剰買取期間中は、電気料金の安い時間帯は電力会社から供給される電気を蓄電池にたくわえ、太陽光の余剰電力を売電する。余剰買取期間終了後は太陽光の余剰電力は蓄電池にたくわえ、電気料金の高い時間帯は蓄電池の電気を使う」といった計画が立てられる。
各ご家庭のライフスタイルに応じた電力消費カーブを把握し、それに合わせ、「いつたくわえていつ消費するのか」をシミュレーションすることが求められます。電力自由化により新しい電力会社が続々と生まれ、電気料金プランは2,700種を超えています。その中のどれを採用し、どれだけの容量がある蓄電池を使い、どれだけの発電量のある太陽光発電を導入すると、経済効果が最大になるのか。こうした要素を計算に入れなければ、最適な提案はできないのです。
たとえば、電気料金プランや蓄電池の容量といった要素があります。自家消費目的が主でも、売電の契約をしているご家庭であれば、「余剰買取期間中は、電気料金の安い時間帯は電力会社から供給される電気を蓄電池にたくわえ、太陽光の余剰電力を売電する。余剰買取期間終了後は太陽光の余剰電力は蓄電池にたくわえ、電気料金の高い時間帯は蓄電池の電気を使う」といった計画が立てられる。
各ご家庭のライフスタイルに応じた電力消費カーブを把握し、それに合わせ、「いつたくわえていつ消費するのか」をシミュレーションすることが求められます。電力自由化により新しい電力会社が続々と生まれ、電気料金プランは2,700種を超えています。その中のどれを採用し、どれだけの容量がある蓄電池を使い、どれだけの発電量のある太陽光発電を導入すると、経済効果が最大になるのか。こうした要素を計算に入れなければ、最適な提案はできないのです。
── なるほど。これまでの「売電目的」の太陽光発電装置を販売していたときとは、大きくやり方を変える必要があるわけですね。どうすれば、そのハードルを越えられるのですか。
ITが解決策になります。たとえば、当社が提供しているクラウド型のサービス『エネがえる』。必要な要素をすべて計算に入れて、太陽光発電・蓄電池導入の経済効果をシミュレーションできます。複雑な計算はすべてクラウドで処理され、その結果がタブレット端末などへ瞬時に表示。地方の販売店の営業担当者が各ご家庭を訪問した際に、その画面を見せたり、プリントアウトを渡したりすることで、最適な提案をわかりやすく、伝えられます。
太陽光発電装置や蓄電池のメーカーのなかには、導入時の経済効果シミュレーションシステムを提供しているところもあります。ですが、そのメーカーのプロダクトを導入したときのシミュレーションしかできません。その点、『エネがえる』は国内外の主要なメーカーの蓄電池の仕様情報がインプットされている。くわえて、2,700種超の電気料金プランも、その全てを2ヵ月に1回見直して最新のデータに更新をしているため、より精緻なシミュレーションが可能です。太陽光発電関連のテクノロジーは日進月歩。たとえば、最近、導入事例が増えてきた「VtoH」、つまり電気自動車の蓄電池を家庭用に使うシステムについても、いずれシミュレーションの対象にくわえる予定です。
太陽光発電装置や蓄電池のメーカーのなかには、導入時の経済効果シミュレーションシステムを提供しているところもあります。ですが、そのメーカーのプロダクトを導入したときのシミュレーションしかできません。その点、『エネがえる』は国内外の主要なメーカーの蓄電池の仕様情報がインプットされている。くわえて、2,700種超の電気料金プランも、その全てを2ヵ月に1回見直して最新のデータに更新をしているため、より精緻なシミュレーションが可能です。太陽光発電関連のテクノロジーは日進月歩。たとえば、最近、導入事例が増えてきた「VtoH」、つまり電気自動車の蓄電池を家庭用に使うシステムについても、いずれシミュレーションの対象にくわえる予定です。
一般家庭へ訪問するきっかけができた
── 多種多様な製品やサービスの組み合わせでシミュレーションできるシステムなのですね。これを導入して、営業活動を大きく改善させた成功事例を教えてください。
たとえば、各ご家庭に最適な電気料金プラン提示する機能を、アポ取りツールとして活用している地方販売店の例があります。一般のご家庭にしてみれば、電気料金プランの選択肢が増えたものの、「ウチに最適なプラン」はなかなかわからない。選択可能なプランの中から、最適なプランを中立的な立場で提示してくれるところがあれば、話を聞いてみたくなりますよね。そこでご訪問のアポをとり、最適な電気料金プランを提示。その話の流れから、太陽光発電装置・蓄電池の導入提案へとつなげて、成果を出しているのです。
『エネがえる』は、全機能を21日間無料で試せます。使っていただければ、「粗利ベースで49倍」と当社で試算している、抜群の投資効果を実感していただけると思います。
『エネがえる』は、全機能を21日間無料で試せます。使っていただければ、「粗利ベースで49倍」と当社で試算している、抜群の投資効果を実感していただけると思います。
── 『エネがえる』の販促について聞かせてください。広く普及させていくうえで、どんな課題がありましたか。
ターゲットとなる顧客層についての知見も、サービスを拡販していくノウハウも、営業を担当する人材も不足していたことです。そもそも当社は、国や地方自治体をはじめとする公共機関から航空測量やコンサルティング業務などを受託することを主力にしています。一方、『エネがえる』は、民間企業向けにSaaS方式でシステムを提供するもの。まったく新しいサービスで、まったく新しい市場を開拓しようとする新規事業です。社内にそういったサービスを展開させていく知識・経験のある人材はいません。
とくに、「どうやって地方の販売店・工務店を攻略するか」がポイントとして浮かび上がってきました。大手のメーカーや商社といったところも『エネがえる』の重要な顧客です。ただ、SaaS方式ですから、より多くのお客さまに使っていただくことで、当社の収益も、蓄積できるデータ量も多くなる。ゆうに1万社を超える地方の販売店を顧客化できれば、この新規事業の成功が見えてきます。
アプローチの手段としてWebにおけるリスティング広告やDMによるプロモーションなどの施策を打っています。しかし、地方の販売店においては、リアルな人間どうしのつながりを重視するところが多い。決裁権をもつ社長に訪問のアポをとり、直接お会いして信頼を得てから、『エネがえる』を提案するのがいちばん有効なのです。とはいえ、営業を担当しているのは私を含め2名。1万社にテレアポするのは非現実的です。そこで、インサイドセールスのプロであるセールスロボティクス社の『SALES BASE』を利用することにしました。
とくに、「どうやって地方の販売店・工務店を攻略するか」がポイントとして浮かび上がってきました。大手のメーカーや商社といったところも『エネがえる』の重要な顧客です。ただ、SaaS方式ですから、より多くのお客さまに使っていただくことで、当社の収益も、蓄積できるデータ量も多くなる。ゆうに1万社を超える地方の販売店を顧客化できれば、この新規事業の成功が見えてきます。
アプローチの手段としてWebにおけるリスティング広告やDMによるプロモーションなどの施策を打っています。しかし、地方の販売店においては、リアルな人間どうしのつながりを重視するところが多い。決裁権をもつ社長に訪問のアポをとり、直接お会いして信頼を得てから、『エネがえる』を提案するのがいちばん有効なのです。とはいえ、営業を担当しているのは私を含め2名。1万社にテレアポするのは非現実的です。そこで、インサイドセールスのプロであるセールスロボティクス社の『SALES BASE』を利用することにしました。

「訪問すればお試し利用までいく」
── 『SALES BASE』を導入したことで、販促においてどんな成果があったか、シェアしてください。
圧倒的に高い効率で営業できました。地方販売店リストから『SALES BASE』によるテレアポでアポを獲得できた割合を、リスティング広告からのアプローチによるものと比べると、圧倒的に高かった。そして、そのアポの質が非常に高い。「50代男性ではきはきした方」といった、テレアポ時に得られた具体的な属性を提供してもらえるので、私たちは訪問前に明確なイメージをもって営業することができました。
テレアポ時に『エネがえる』導入のベネフィットをしっかり相手に伝えてくれているケースが多く、ほとんどの場合、訪問すれば無料のトライアル契約をしていただき、とんとん拍子に成約にまで進みました。「『SALES BASE』は新規事業の顧客開拓に非常に有効」という評判は聞いていましたが、「これほどとは」と実感しています。電話をかけるスタッフさんと私たちが直接打ち合わせを行う機会をもうけてもらったので、エネがえるのチームの一員として当社のサービスやターゲットについて細部にわたり共有できたのも、高い成果をあげられた要因でしょう。
テレアポ時に『エネがえる』導入のベネフィットをしっかり相手に伝えてくれているケースが多く、ほとんどの場合、訪問すれば無料のトライアル契約をしていただき、とんとん拍子に成約にまで進みました。「『SALES BASE』は新規事業の顧客開拓に非常に有効」という評判は聞いていましたが、「これほどとは」と実感しています。電話をかけるスタッフさんと私たちが直接打ち合わせを行う機会をもうけてもらったので、エネがえるのチームの一員として当社のサービスやターゲットについて細部にわたり共有できたのも、高い成果をあげられた要因でしょう。
── 今後、『エネがえる』をどう広めていくか、ビジョンを聞かせてください。
現時点では新規顧客へのアプローチに『SALES BASE』を活用していますが、今後はいちど訪問したお客さまに対する継続フォローにも活用したいと考えています。当社の営業をお客さま訪問部隊と位置づけ、そのバックエンドで『SALES BASE』がインサイドセールスとして機能する、そうした車の両輪のように動く営業スタイルが効果的なことはこれまでの成果で実証ずみ。今後もこうした営業スタイルに磨きをかけ、単なるアプローチだけではなく、お客さまが当社サービスを利用されるライフサイクル全般において、『SALES BASE』を活用していきたいですね。
そうして『エネがえる』が広まり、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーが普及していくムーブメントの、その真ん中に『エネがえる』がいつでもいる。そんな存在となってほしい。『エネがえる』が活躍できる領域は、販売店がご家庭に正確な電気利用のシミュレーションを提示することにとどまりません。メーカーは『エネがえる』によって一般ユーザーの電力や蓄電池の利用状況を把握することで次世代の製品開発に役立てることができるでしょう。一般家庭であれば自宅で使っている電力によるCO2排出量や、電力の自給自足の度合いが見える化されることで環境意識を高めることができます。
目指すは再生可能エネルギーのプラットフォーム。今後も、『エネがえる』の普及に力をつくして、よりよい社会の創造に貢献したいですね。
そうして『エネがえる』が広まり、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーが普及していくムーブメントの、その真ん中に『エネがえる』がいつでもいる。そんな存在となってほしい。『エネがえる』が活躍できる領域は、販売店がご家庭に正確な電気利用のシミュレーションを提示することにとどまりません。メーカーは『エネがえる』によって一般ユーザーの電力や蓄電池の利用状況を把握することで次世代の製品開発に役立てることができるでしょう。一般家庭であれば自宅で使っている電力によるCO2排出量や、電力の自給自足の度合いが見える化されることで環境意識を高めることができます。
目指すは再生可能エネルギーのプラットフォーム。今後も、『エネがえる』の普及に力をつくして、よりよい社会の創造に貢献したいですね。